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建物がある土地とない土地の固定資産税は?違いと注意点を解説

不動産購入についてのお役立ち情報

金井 貴之

筆者 金井 貴之

不動産キャリア7年

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土地や建物を所有していると避けて通れない固定資産税ですが、「建物がある土地」と「建物がない土地」では課税額に大きな違いがあることをご存じでしょうか。実は、建物の有無によって受けられる税制上の特例や負担額が変わり、思わぬ税負担が発生することもあります。この記事では、固定資産税の基本から、建物がある場合とない場合の違い、注意すべき点や対策について、分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、ご自身の資産管理にお役立てください。

固定資産税の基本と計算方法

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋などの固定資産を所有している方に課される地方税です。この税金は、市町村が資産の評価額を基に算出し、所有者に納税通知書を送付します。固定資産税の対象となる資産は、大きく分けて「土地」「家屋」「償却資産」の3種類です。土地には宅地や田畑、山林などが含まれ、家屋には住宅や店舗、工場などが該当します。償却資産とは、事業用の機械や設備、器具などで、法人税法や所得税法上、減価償却の対象となる資産を指します。ただし、自動車税や軽自動車税の課税対象となるものは除かれます。

固定資産税の計算方法は、以下の通りです。

固定資産税額=課税標準額×税率(標準税率1.4%)

課税標準額は、固定資産税評価額に特例措置や負担調整措置を適用した後の金額です。評価額は、国が定めた固定資産評価基準に基づき、市町村が決定し、3年ごとに見直されます。土地の評価額は、公示価格の約70%を目安とし、家屋の評価額は新築時の建築費の60~70%程度が基準となります。税率は原則として1.4%ですが、市町村によっては異なる場合があります。

固定資産税評価額と課税標準額の違いをまとめると、以下の表のようになります。

項目 内容
固定資産税評価額 資産の評価基準額で、3年ごとに見直される。
課税標準額 評価額に特例や負担調整を適用した後の金額。
税率 原則1.4%だが、市町村により異なる場合がある。

このように、固定資産税は資産の評価額を基に計算され、特例措置や税率によって最終的な税額が決定されます。資産の種類や所在地によって適用される特例や税率が異なるため、詳細はお住まいの市町村の税務課に確認することをおすすめします。

建物がある土地とない土地の固定資産税の違い

固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される税金です。土地に建物があるかないかによって、固定資産税の額には大きな違いが生じます。以下で、その違いについて詳しく解説します。

まず、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準額が軽減されます。具体的には、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されます。これにより、住宅が建っている土地の固定資産税は大幅に抑えられます。

一方、建物がない更地の場合、この特例は適用されず、固定資産税の課税標準額は評価額の70%程度となります。これにより、同じ評価額の土地でも、建物がある場合とない場合で固定資産税額に大きな差が生じます。

以下に、具体的な比較を示します。

土地の状態 課税標準額の軽減措置 固定資産税額
建物がある土地(小規模住宅用地) 評価額の6分の1 評価額 × 1/6 × 1.4%
建物がある土地(一般住宅用地) 評価額の3分の1 評価額 × 1/3 × 1.4%
建物がない土地(更地) 軽減措置なし 評価額 × 70% × 1.4%

さらに、空き家が「特定空き家」に指定された場合、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に増加します。特定空き家とは、放置すると倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を著しく損なうなどの状態にある空き家を指します。自治体からの指導や勧告を受けても改善が見られない場合、特例が解除され、固定資産税が最大で6倍に増加することがあります。

このように、土地に建物があるかないか、また建物の管理状態によって、固定資産税の額は大きく変動します。適切な管理と維持が、税負担を軽減する鍵となります。

建物の有無による固定資産税の軽減措置と注意点

固定資産税は、土地や建物の所有者に課される税金であり、特に住宅用地に対しては税負担を軽減するための特例措置が設けられています。建物の有無は、これらの軽減措置の適用に大きく影響します。以下では、住宅用地特例の詳細と適用範囲、建物を取り壊した場合の固定資産税への影響、未登記の建物に対する固定資産税の取り扱いと注意点について解説します。

まず、住宅用地特例について詳しく見ていきましょう。住宅用地とは、専ら人の居住の用に供されている家屋の敷地を指します。この特例措置により、固定資産税および都市計画税の課税標準額が軽減されます。具体的には、住宅1戸当たり200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地)については、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1、都市計画税が3分の1に軽減されます。200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)については、固定資産税が評価額の3分の1、都市計画税が3分の2に軽減されます。これらの特例措置の適用を受けるためには、住宅が現に建っていることが条件となります。したがって、建物が存在しない土地や、建築中でまだ居住の用に供されていない土地には適用されません。

次に、建物を取り壊した場合の固定資産税への影響についてです。住宅を取り壊すと、その土地は住宅用地特例の適用対象外となり、固定資産税の負担が増加する可能性があります。例えば、住宅が建っている土地では小規模住宅用地として評価額の6分の1が課税標準額となりますが、建物を取り壊すとこの特例が適用されなくなり、評価額全額が課税標準額となる場合があります。これにより、固定資産税額が大幅に増加することが考えられます。したがって、建物の取り壊しを検討する際には、固定資産税の増加を考慮し、計画的に進めることが重要です。

最後に、未登記の建物に対する固定資産税の取り扱いと注意点について説明します。未登記の建物とは、法務局に登記されていない建物を指します。未登記であっても、固定資産税の課税対象となりますが、住宅用地特例の適用に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、未登記の建物が存在する場合、自治体がその存在を把握できず、土地に対する住宅用地特例が適用されないことがあります。これにより、固定資産税が高くなるリスクがあります。さらに、未登記の建物は、売却や相続の際に手続きが複雑化し、住宅ローンの担保としても利用できないなどのデメリットがあります。したがって、建物を新築した際や、未登記の建物を所有している場合は、速やかに登記手続きを行うことが望ましいです。

以下に、建物の有無や登記状況による固定資産税の軽減措置適用の可否をまとめた表を示します。

状況 住宅用地特例の適用 固定資産税への影響
建物が存在し、登記済み 適用される 税負担が軽減される
建物が存在するが、未登記 適用されない可能性がある 税負担が増加する可能性がある
建物を取り壊した後 適用されない 税負担が増加する

このように、建物の有無や登記状況は、固定資産税の軽減措置に大きく影響します。適切な税負担を維持するためには、建物の登記を確実に行い、取り壊しの際には税負担の変化を考慮することが重要です。

固定資産税を抑えるためのポイントと対策

固定資産税は、不動産を所有する上で避けられない税金ですが、適切な管理と対策により、その負担を軽減することが可能です。以下に、固定資産税を抑えるための具体的なポイントと対策をご紹介します。

特定空き家に指定されないための管理方法

特定空き家に指定されると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税額が大幅に増加する可能性があります。これを防ぐためには、以下の管理方法が有効です。

  • 定期的な清掃と点検:建物や敷地内の清掃を定期的に行い、劣化や破損がないか確認します。
  • 草木の手入れ:庭や敷地内の草木が繁茂しないように手入れを行い、景観を維持します。
  • 防犯対策:窓やドアの施錠を確実にし、防犯カメラやセンサーライトの設置を検討します。
  • 近隣住民とのコミュニケーション:近隣住民と良好な関係を築き、異常があれば連絡をもらえる体制を整えます。

これらの対策を講じることで、特定空き家への指定を回避し、固定資産税の増額を防ぐことができます。

建物の適切な維持管理による固定資産税軽減の可能性

建物を適切に維持管理することで、固定資産税の評価額を抑えることが可能です。具体的には、以下の点に注意します。

  • 定期的な修繕:屋根や外壁、内装などの劣化部分を早期に修繕し、建物の価値を維持します。
  • 耐震補強:耐震性を向上させることで、安全性を高めるとともに、評価額の下落を防ぎます。
  • エネルギー効率の向上:断熱材の追加や省エネ設備の導入により、建物の評価を高めることができます。

これらの維持管理を行うことで、建物の評価額の下落を防ぎ、結果として固定資産税の増額を抑えることが期待できます。

固定資産税の軽減措置を活用するための手続きと注意点

固定資産税には、一定の条件を満たすことで適用される軽減措置があります。主な軽減措置とその手続き、注意点を以下にまとめます。

軽減措置 適用条件 手続きと注意点
住宅用地の特例 住宅が建っている土地 特例適用のための申請が必要。特定空き家に指定されると適用外となるため、適切な管理が求められる。
耐震改修による減額 旧耐震基準の住宅を耐震改修した場合 改修後、所定の期間内に申請が必要。自治体によって要件が異なるため、事前確認が重要。
バリアフリー改修による減額 高齢者や障がい者向けのバリアフリー改修を行った場合 改修後、所定の期間内に申請が必要。対象となる改修内容や要件を事前に確認することが望ましい。

これらの軽減措置を活用することで、固定資産税の負担を軽減することが可能です。ただし、各措置には適用条件や手続きが定められているため、事前に自治体の窓口や公式サイトで詳細を確認し、適切に手続きを行うことが重要です。

以上の対策を実施することで、固定資産税の負担を効果的に抑えることができます。適切な管理と計画的な対策を心がけ、不動産の価値を維持しながら税負担を軽減しましょう。

まとめ

建物の有無によって、固定資産税の額や軽減措置には大きな違いが生じます。特に住宅用地特例の有無は、税額に直結する重要なポイントです。建物がある場合、住宅用地として優遇措置を受けることができますが、建物を取り壊すと優遇が失われ、税負担が増加します。また、空家対策特別措置法により、特定空き家に指定されると固定資産税が高額になる恐れもあります。固定資産税に関する基本知識を押さえ、土地や建物の状況に応じて適切な管理と手続きを行うことが、税負担を抑えるポイントとなります。不明点やご相談はお気軽に当社までお尋ねください。

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